俺様外科医との甘い攻防戦

 マンションに戻ってもまだ、久城先生は戻ってきていないようだ。
 どことなくホッとして、自分が緊張しているのだと気づく。

 ただ待っているだけだと、色々と考えてしまいそうで、料理でもしていようとキッチンに立つ。

 いつの日かのようだ。
 私と眠るためだけに帰ってくる久城先生を待ち、落ち着かなくて料理を作った。

 手料理が好きかどうかわからないのに、久城先生にサンドウィッチを作って。
 すごく喜んでくれたっけ。

 このマンションは色々な場所に久城先生との思い出があり、ひとりで過ごすには寂し過ぎた。
 それも、もう……。

 料理を作り終え、一旦休憩しようと腰掛ける。

『今日は戻る』と聞いてから、3時間は過ぎている。
 よく考えたら、『今から戻る』という感じの口振りではなかっただろうか。

 もしかして、無理が祟って倒れてしまったのだとしたら!

 いても立ってもいられなくなり、立ち上がったところで、玄関の開く音が聞こえた。
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