俺様外科医との甘い攻防戦

「この配列はちょっと上級者向けだな」

 思わぬ感想を聞き、隣の久城先生を盗み見る。

「こっちを見てくれさえすれば、俺は近くて嬉しいけど」

 妖しく細められた目に視線を絡めとられ、盗み見た行為を後悔しても遅かった。
 頬が熱くて堪らない。

「好意的に見えなくもないんだが、どうして頑なに断るのか理由を教えてくれない?」

 そこまで聞かれたところで料理が運ばれてきた。話は一時中断となる。
 ウェイターが退室した後に、正直に胸の内を明かす。

「久城先生のような男性と、こんな至近距離で話したら誰でもこうなります」

「俺のような男性っていうのは?」

 わかっていて聞いているのは理解しつつも、敢えて答えてみせる。

「色気のある魅力的な男性、です」

「ほう」

 感嘆するような声を聞いて、若干の違和感を覚える。
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