俺様外科医との甘い攻防戦
東雲律紀。同じ都波中央総合病院に勤める呼吸器内科の医師。俺の悪友だ。
両親共に医師の家庭に育ち、生まれながらにして医師を約束されたような男。
「内科医になれば、女の子の胸が見放題だろ?」
なんてふざけた発言も、律紀なら本気なんじゃないかと思わせる。腕はいいが、絵に描いたように女にだらしがない。
そんな律紀の素性を知らない奥村さんが弄ばれ捨てられるのは、もったいない。
律紀の毒牙にかかるような安い女に成り下がり、これからも成長するであろう腕のいい作業療法士の芽を摘みたくなかった。
だったら俺が付き合ってやる。
ほどほどに付き合えば、律紀の女になろうだなんて馬鹿な考えは無くすだろう。
遊ばれてボロ雑巾のように捨てられる姿に、奥村さんがなるかもしれない状況だけは耐えられなかった。