俺様外科医との甘い攻防戦

 各自好きなものを頼み、談笑しながら食事をする。
 付き合う付き合わないの話を持ち出されなければ、久城先生と過ごす時間は私だって心地いい。

 そうだとしても、久城先生の提案を鵜呑みにできるほど純粋にはなれない。

 食べ終わる前に、伝票を手元に引き寄せる。

「ここは私に払わせてください。昨日もご馳走になって、フェアじゃないですから」

 昨日の高級レストランとでは、比べ物にならないだろう。それでも自分ができる範囲で誠意を見せたい。

「本当に律儀だな。それじゃお言葉に甘えるよ」

 私の主張を聞き入れ、スッと引いてくれるところも大人だと思う。
 久城先生はどこもかしかも嫌味なくらいスマートだ。
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