俺様外科医との甘い攻防戦
「大丈夫か? 悪い。余計なことに巻き込んだ」
「今のは、病院の関係者、ですか?」
「ああ。脳神経外科の看護師。いい機会だ。辞めてもらうように上に通達しておくよ」
頭を鈍器で殴られたような衝撃を受け、言葉を失う。
「奥村さんがショックを受けることじゃない。前から目に余る行動ばかりだったから」
「でもっ」
なにを訴えたいのか、自分でもわからない。
それでもなにか言わずにはいられなかった。
久城先生はそれさえも聞かずに、静かに続ける。
「このままだと、奥村さんに嫌がらせしかねない。そういうの、馬鹿らしくて反吐が出る」
誰も寄せ付けない冷たさを纏って言い切る久城先生を、初めて怖いと思った。