俺様外科医との甘い攻防戦

 久城先生は頬から手を離し、履いたままのパンプスを順に脱がす。
 それを玄関まで置きに行くと、「患部を診せてくれ」と再び私の前に跪いた。

「熱を持っている。やはり捻ったか」

 足首に優しく手が触れ、熱いのは捻ったせいなのかなんなのかわからなくなる。

「患部は温めないように、シャワーで済ませた方がいい。介助しよう」

 淡々と言われ黙って従ってきたが、これにはさすがにギョッとする。

「あの、本当に平気ですから」

「ダメだ。風呂に入れられるのに抵抗があるのなら、入らなくてもいい。せめて今日だけでもここにいるんだ」

 懇願するように言われ、小さく頷く。

「よし。湿布を持ってこよう。捻った足を下に付けないようにして、ストッキングを脱いでおいて」

 頭をかき回し、久城先生は部屋を出て行く。
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