俺様外科医との甘い攻防戦
脇に手を入れられそうになり、身を引いてせめてものお願いをする。
「あの、おんぶじゃダメですか。抱き上げられるのは、抵抗があって」
目を丸くした久城先生は、フッと息を吐くように笑う。
「散々、人前で抱きかかえられていたくせに、ここに来て抱っこは嫌だって?」
仰る通りなのだが、どちらかと言えばやっと意見できたのであって、ずっと耐え忍んでいただけだ。
「抱っこって子どもみたいで。私、いい大人ですし」
軽々持ち上げられるから、負担ではないのだろうとは思う。
でも、連れられる側としては抱っことおんぶでは心理的ダメージの違いが……。
お願いをしたのに脇に手を入れ、持ち上げられる。
そのまま向かい合った状態で抱き上げられ、意見は聞き入れられないのだと悟る。
「どこが子どもっぽいって? この体制すごくセクシーだと思うな」