俺様外科医との甘い攻防戦

「久城先生はこのあとの飲み会、行かないんですか? まだ白衣でこんなところにいては遅れますよ」

 どの科の先生を誘ったのかは、詳しく聞かなかったが、久城先生なら引く手あまただろう。ほかの飲み会に行くかもしれないし。

「ん? 俺、今日当直だしな。夜食の買い出しのついで」

 一階のリハビリステーションの向かいにあるコンビニ。そこに用があったのだ。

 ほら、やっぱり『会いに』だなんて、口先だけ。

「なに。妬いてるのか? 俺はよそ見しないから、無駄な飲み会には参加しないよ」

 目を見開き、斜め上を睨みつける。

「妬いてなんか。ご自由に女性との親交を深めてください」

 睨んでいるのに、フッと表情を緩め目尻を下げる。その変化に心が囚われそうになり、目を逸らし顔を俯かせる。

 イケメン医師、至近距離での直視禁止!

 自分の中で標語みたいに唱えていると、ズシッと頭に重いなにかを置かれる。
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