俺様外科医との甘い攻防戦
朝日が目に染みて、布団に顔を押し付ける。
「ん、まぶしい……」
「おはよ」
布団が甘く囁いて、肩を揺らす。
「まだ寝ぼけてる?」
グッと抱き寄せられ、布団だと思っていたものは久城先生だったと眠る前の記憶にたどり着く。
「す、すみません! すぐに退くので」
慌てて離れようとする体を、久城先生は包み込む。
「いいよ。足だけ注意してくれれば」
「あ」
すっかり忘れていた。捻挫をしたから、急遽久城先生のご自宅にお邪魔したんだった。
「痛くないですし、いいみたいです」
「こら。捻挫を甘くみない」
大きな胸に抱き締められ、胸の奥が痛くなり、心臓は早鐘を打ち始める。
「鼓動が速くなった。緊張してる?」
手を取るように私の変化を察知され、居た堪れない。
「久城先生みたいな方に抱き締められたら、誰だって……」
「俺みたいな、色気のある魅力的な男性?」
「そう、です」
前に言った言葉を持ち出して確認されるのは、恥ずかしい。
でも、そうだよ。
誰だって久城先生みたいな人に抱き締められたら、ドキドキするに決まってる。