俺様外科医との甘い攻防戦

「ほら、せっかくのスープが冷める。食べながら話そう」

 促され、サンドウィッチを手にして、ひと口頬張る。

「おいしい」

「それは良かった」

 久城先生も柔らかな笑みを浮かべた後、サンドウィッチを手にして豪快にかぶりつく。

「うん。うまい。こういうのもたまにはいいもんだな」

 ここに来た時はものすごく緊張していたくせに、極上の寝心地のベッドだったせいか、かなりのお寝坊だ。
 時計は11時を指している。朝食というよりブランチという時間。

 食べ終わると、足の湿布を貼り替えやテープで固定をする処置は、久城先生が率先してやってくれた。

「毎日替えた方がいい。俺が替えてやれるといいんだが」

「大丈夫です。自分でやります」

 私だって作業療法士の勉強の一環でテーピングも学んでいる。仕事でテーピングをするのは理学療法士の方だが、私も知識がないわけでない。
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