俺様外科医との甘い攻防戦
「なーんだ。つまらないの。久城先生ってあんまり女性関係の話は聞かないから、陽葵がすごい人を捕まえた!って思っていたのに」
「それは……上手く隠しているだけじゃないかな。あれだけのイケメン医師だもの。なにもないわけないでしょう」
女性の扱いに手慣れていて、突然の泊まりに対応できていた。
なにより医師という職業が、私には信用できなくて。
「久城先生を狙っている人って多いみたいだしねえ。そうそう。あからさまにアプローチしていた看護師のひとりが、辞めさせられたって噂」
「え」
もしかして、おとといのあの人?
睨まれた顔が思い出され、胃の辺りがキューッと締め付けられる。
「手術室看護師の人で、私たちとは関わらない人だから陽葵は知らないかも」
だから知らない顔だったのだと、合点がいく。
「看護師としての仕事ぶりはいいから、今まではお咎めなしだったみたいだけどね。久城先生が仮眠室に入るところを見計らって、一緒に入ろうとしたり」
「それは、すごいね」
久城先生が目に余ると言っていたのは、そういうところだったのかもしれない。