俺様外科医との甘い攻防戦
「え? 歩美ですか? 歩美は悪くないんです。私を元気付けようとして、誘ってくれただけで」
久城先生は片手で額を覆い、恨めしそうな視線を寄越す。
「病院のパソコンに『陽葵が気落ちしているので、合コンに誘いました。陽葵かわいいので、お持ち帰りされたらすみません』って業務メールに紛れて送られてきていた。ご丁寧に店の地図付きで」
「えっ、うそ。なんで」
額を覆っていた手で頭をかき回され、「ったく。俺がどれだけ焦ったか」とぼやかれる。
「ご心配、いただかなくても、帰るところで」
カタコトになりながらも顔が熱い。
「連れて行かれそうだったくせに、よく言うよ」
文句を言われても、思考が追いつかない。
本当に、心配して来てくれた、の?