俺様外科医との甘い攻防戦

 しばらくして、スマホに歩美から連絡が入る。

 家主のいない家に置いていかれ、躊躇しつつも今は寝室で丸くなっていた。

 お風呂も借りた。
 一度、入ったことがあるとはいえ、私って案外図太いかもしれない。

『ごめんね! 陽葵を追いかけていった人、最低だね』

 なにか相手から聞いたのかもしれない。

『飲み会って苦手でさ』と言っていた男性は、捨て台詞を吐いた後、再び洋風居酒屋に戻っていったみたいだったから。

 世間知らずの女性をたぶらかすときの、いつもの手口なのだろう。

『私こそごめんね。勝手に先に帰って』

『いいえ〜。仲直りした恋人との、熱い時間をお過ごしください』

「なっ!」

 かばりと体を起こし、カーッと顔が熱くなる。
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