俺様外科医との甘い攻防戦
いつもより早めに出勤して、階段を上る。
都波中央総合病院は大きな病院で11階建て。
通常の外来患者は一階の総合受付を通り、それぞれの診療科へと進む。
主に二階が外科、三階は内科、四階は皮膚科や精神科などと分かれており、五階から十階までが入院病棟となっている。
11階には展望のいいと噂のレストランがある。行く機会はないけれど。
リハビリステーションや放射線科、売店などは1階だ。
自分の職場を通り越し、階段を上り続け4階でフロアに進み出る。
診察室とは別に医師の休憩所兼、事務所のような医局と呼ばれる場所が4階の皮膚科と精神科の診察室の奥にあり、そこに向かう。
朝のまだ早い時間。ナースステーションには夜勤だろうか、まばらに人はいるが、静かなフロア。
迷わず進むのは脳神経外科の医局。リハビリに関連して担当患者の病状を聞くために来る機会はあるものの、どことなく緊張する。