俺様外科医との甘い攻防戦

 久城先生の優しさに触れ、あのまま眠ってしまった。
 深夜に目が覚めて、湯船にゆっくり浸かる。

 落ち込んでいても、お腹の空く自分の図太さに苦笑しつつ、簡単なものをつまむ。

 自炊はしない久城先生のキッチンを借りるのは気が引けたが、『気にせず好きにすればいい』と言われてから、フライパンや鍋など持ち込んで作っている。

 久城先生は朝方に帰ってくる。
 しかも自分と眠るためだけに。

 そう思うと、どこか落ち着かない気持ちになって、深夜にも関わらず料理をする手が止まらなくなった。

「こんなところで、どうした? 風邪をひくぞ」

 料理を作り、少しだけの休憩のつもりがダイニングのテーブルにもたれかかり眠っていたようだ。

「変な時間に起きてしまって、それからうたた寝したみたいで」

「シャワーだけ浴びてくる。寝室で待っててくれ」

 頭に手を置いて、おでこにキスをする久城先生は甘い。
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