俺様外科医との甘い攻防戦

 頬がくすぐったくて目を覚ます。
 目を細め、微笑んでいる久城先生が一番に視界に映る。

「おはよ」

「おはよう、ございます。久城先生、眠れたんですか?」

「ああ。寝坊しそうで、落ちる前になんとか目覚ましはかけた」

 頬に触れている手が顎を持ちあげ、リップ音をさせ唇と唇が触れる。

「く、久城先生?」

「ん? もう一回って意味?」

「違っ!」

 否定は聞き入れられず、再び唇が重なる。

 ヤダ。どんな甘い朝なの⁉︎

「なあ、俺と大人の関係になってもいいと思えたら、教えてくれる?」

「え」

 久城先生は上半身を起こし、おでこに人差し指を当てる。

「くっついて寝るのは幸せではあるが、その前の幸せも込みだと、よりうれしい」

 それって、つまり?
 頭の中で変換され、顔から火が吹きそうなくらいに熱くなる。

 爆弾を落とした久城先生は、おでこから人差しを外し、私の髪を乱暴にかき回す。
 髪がぐちゃぐちゃになり、膨れっ面を向けるとベッドから降りていく久城先生が『お願い』を言い残す。

「急がないけど、早めに頼む。リミッター振り切れて襲って嫌われたくない」
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