おねえちゃんのえがお

おねえちゃんのえがお

元side

幼稚園のバスが停まった。



「おかあさーん！」



「ママー、ただいまー！」



お友達が降りて、それぞれのおかあさんに「ただいま」と言っている。



「おかえり、元(げん)」



ぼくをお迎えに来てくれたのは、おかあさん……じゃなくておねえちゃん。



「おねえちゃん、ただいま」



ぼくのおとうさんとおかあさんは、遠いところに出張中で家にはいない。


だから、ぼくは今8歳年上のおねえちゃんと2人きりなのだ。


でも、すごく歳が離れているからおねえちゃんを、おかあさんと間違う人が多い。


けれどぼくは、おねえちゃんのことがとても大好き。


大きな目をしていて、顔の横で揺れている茶色い三つ編みが似合う、ぼくの可愛いおねえちゃん。