プールのあとはお腹が減る。
男子達がほぼ同時に大輝君を睨んだ。麗佳も表情から血が抜け、狼狽える。

……こいつ最低。
麗佳の弱みにつけこんで条件を出すなんて。

「あ? 誓えるかってきいてんだよ? それともあれか? このまま死ぬか?」

“死”と言う単語を聞き、麗佳はワッと涙を流した。

「なる、なるから…っ」と声を絞る。

大輝君はまた舌を出し、笑う。

「約束だぜ麗佳。……よっと!」

大輝君はプールサイドへ上がる。麗佳まで数メートルの距離がある。たどり着く前に殺されてしまう。

私は咄嗟に目をつぶった。しかし、

「ほら? なんともないだろ?」

大輝君は余裕そうに立っていた。

…どういうこと?
プールから出たら殺されるんじゃないの?

「なんだよ。やっぱり大丈夫じゃん」
「麗佳、俺も助けに行くから!」
「あ、俺も!」

男子達が競うようにプールから上がる。当然のように、みんな無事だ。
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