プールのあとはお腹が減る。
「環っ!! 大丈夫かっ!!」
悠介がこっちへ来ようとする。

「ダメっ! 前へ走って!」
私は叫ぶ。

まさかと思い、振り返る。

優愛と瑠花は私と悠介が出た場所と反対側からプールを出て、外へ続く柵へ向かっていた。

「ごめんなさいね! 環ちゃん! 精精死なないように頑張ってね!」

優愛が嘲笑いながら言う。

「ほら! 他のみんなも来なよ! これ逃したら一生プールから出られないよ!」

にやついた瑠花が言う。

急にプールから出た私達に、影は集中したはず。

まさか二人はそれを狙って、私達を囮に…。

ゾッとするような黒い恐怖心が胸に広がる。

……力が抜けて足が動かない。

他の女子達も、続々と瑠花や優愛に続く。
< 32 / 72 >

この作品をシェア

pagetop