プールのあとはお腹が減る。
悠介からスマホが飛んで来る。私はなんとかそれをキャッチする。

傷の痛みもほとんど感じない。

あと一歩でプールだ。そのとき、プールサイドにべっとりとついた血で、足が滑る。

「あっ…」

尻餅をつく。その上に見えない誰かが馬乗りになる。

「環ちゃん!! 逃げて!!!」

今、私の上に、影がいる…。

体はピクリとも動かない。きっとそいつは獲物を前に、刃物を振り上げていて…
< 34 / 72 >

この作品をシェア

pagetop