プールのあとはお腹が減る。
……怖かった。
本当は行きたくなかった。
ずっと我慢していたものが、一気にこみあげてきた。
悠介はそんな私を大きな体で抱き締めた。
やがて涙が止まると、私の瞳をのぞくようにして、じっと見つめた。
その表情は誰よりも優しく見えて、吸い込まれるような魅力があった。
「悠介…?」
悠介がそっと唇を近づけると、思わず私は目を閉じた。
温かい感触がして、それがキスだと理解したのは、目を開けてしばらくしてからだった。
「ねぇ、みんな…」
どこからか、泣きそうな声がした。