プールのあとはお腹が減る。
川神夏実（かわかみなつみ）

画面にはそう表示されていた。

「夏実がなんで、先生のスマホに…？」

夏実は今、教室でサボっているはず。

今回の騒動をクラスで唯一回避したのはラッキーだと思ったけど…。

もしかして、いつまでも戻らない私達を心配してかけてきたとか？

「環、出てみろよ」と拓真君。

私はスマホを隼人君から受けとる。そして恐る恐る耳にあてる。

「もしもし、夏実なの？」
私がきく。

「先生は死んだんだね。それに、クラスのみんなも…」
「えっ、どうしてそれを？」

ノイズ混じりでかなり聞き取りにくい。

夏実はまるで、今の私達の状況を見ているかのような口振りだ。

「環、よく聞いて。今あなた達は、水難事故で死んだ70人の霊に命を狙われている。理由は、あの祠を壊したこと…」

夏実の口調はどこかいつもと違った。まるで声が同じなだけの、別の誰かが話しているように。
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