プールのあとはお腹が減る。
「俺、夏実のことが好きなんだ」
その瞬間、時間が止まったような気がした。
「だからその……協力してほしくて」
涙をこらえ、必死に笑顔をつくる。
「ふーん。いいんじゃない? 夏実いい子だし、性格もいいし」
声帯がまるで、勝手に嘘をつくようだった。
「実は私も二組の健二(けんじ)君のことが好きなんだ。だからお互い……頑張ろうね」
それから手作りしたチョコをどうしたのか、覚えていない。
悠介はまだ夏実に告白してなくて、だけど夏実のことを、きっとまだ好きなんだと思う。
そして私もまだ、悠介のことを……