プールのあとはお腹が減る。
狂行
「さ、寒いっ…」
震えが止まらない。歯がカチカチと音をたてる。
このままプールにいたら死んでしまう。一刻も早く外へ。
「環ちゃん、水の中の方が暖かいよ」
桜の言ったとおり、肩までつかってしまった方が楽な気がした。
「くっついて暖を取ろう。夏実ならきっとまたかけてくる」
悠介が肩を寄せる。体を近づけると、さっきのキスのことが頭に浮かぶ。
あれは安心して思わず、ってことだよね?
悠介は私の肩を抱く。桜と健二君も来た。
もう恥ずかしがってなんていられない。
「なぁ、みんな……怒んない?」
拓真君がモジモジしながら言う。
「俺、トイレ行きたくなってきちゃった…」