プールのあとはお腹が減る。
水難事故
☆☆☆
中学三年生の夏。朝の全校集会の最中、チョコを口で溶かしていたら、匂いで周りにバレてしまった。
「ちょっと環、何してんのよ」
親友の夏実が注意する。
「だってお腹減ったんだもん」
前にいた悠介(ゆうすけ)が、後ろを見ずに「くれよ」と手を伸ばす。
包みのゴミを渡すと、悠介は軽く舌打ちした。
いつもの全校集会も、今日は雰囲気が違う。
それは今日が、七月二十日だからだ。
「ちょうど六十年前の今日…」
喪服を着た校長先生が話し始める。
「学校の近くの海で、水泳の授業をしていたところ、突如海が荒れ、授業に参加していた一名を除く70名の命が失われました」
子供の頃から何度も聞いた話だ。
当時は幽霊の仕業とか、色々な噂が出たけど、原因は未だによく分かっていないらしい。
「…では、犠牲となった子供たちを悼み、黙祷」
中学三年生の夏。朝の全校集会の最中、チョコを口で溶かしていたら、匂いで周りにバレてしまった。
「ちょっと環、何してんのよ」
親友の夏実が注意する。
「だってお腹減ったんだもん」
前にいた悠介(ゆうすけ)が、後ろを見ずに「くれよ」と手を伸ばす。
包みのゴミを渡すと、悠介は軽く舌打ちした。
いつもの全校集会も、今日は雰囲気が違う。
それは今日が、七月二十日だからだ。
「ちょうど六十年前の今日…」
喪服を着た校長先生が話し始める。
「学校の近くの海で、水泳の授業をしていたところ、突如海が荒れ、授業に参加していた一名を除く70名の命が失われました」
子供の頃から何度も聞いた話だ。
当時は幽霊の仕業とか、色々な噂が出たけど、原因は未だによく分かっていないらしい。
「…では、犠牲となった子供たちを悼み、黙祷」