プールのあとはお腹が減る。
「試したんだよ。ガキだった頃の俺は、環が俺のことどう思ってるのか不安で、つい夏実を使って…」
私は全てを悟った。
「私本気だと思ってたのに!」
「俺だって、環が平気そうに笑って健二の名前出すから、絶対に健二が好きだと思って」
てことはつまり、
私の失恋は勘違いだったってこと?
「もういいっ! ほんと最低っ!」
私は排水溝へ目を向ける。水がものすごい勢いで吸い込まれていく。まるで別世界へと通じるように。
「環、こっち向けよ」
「もう知らない」
「環!」
悠介は私の顔を向けさせると、そっと唇を重ねた。