遺書
「明日発売する小説の続き?」
「そう。最後にアッと言わせる展開にするつもり。…探偵の独白でも入れるか」
「叔父さんの十八番だよね、どんでん返し。最後の一行まで油断出来ないよ」

叔父さんの小説が大好きな私は連載中の小説があの原稿用紙に書かれた言葉でどのように変わっていくのかワクワクした。

「そうだ、叔父さん。気分転換に私の小説を読んでよ。短編のミステリーを書いたんだ」

私は手提げ袋に入れていたファイルを取り出して叔父さんに差し出した。ファイルにはパソコンで打ち込んで印刷した小説が数枚程入っている。しかし、叔父さんは片手で押し返して首を横に振る。

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