『ひとり』から『ひとり』へ。
前は、深く話し込めば、込むほど大喧嘩になっていたのに、目も合わせず、話もせず。
ただの同居人になる。
私は同居人の食事を作り、洗濯をする。
当たり前のように、それを食べ、私の畳んだ服に袖を通す姿を見ていると、憎しみが湧いてきた。
よくドラマで
『私は貴方のなんなの!』と叫ぶシーンがあるけれど、まさにそれ。
相手に向かって叫ぶことはしなかったけど、
心の中で
『ただ働きの家政婦か!』と毒づく毎日。
そんな毎日を過ごしていると、少しずつすり減る精神。
目眩、動悸、原因不明の咳…
どの病院へ行っても、診断は
「ストレス」か「過労」
ならば、ストレス発散!と色々なことに手を出してみる。
フラワーアレンジメントの教室、アロマにヨガ、岩盤浴にエステまで…
お金をかけるも何も好転せず。
そんな時、友人から言われた一言。
「誤魔化しててもダメなんじゃ無い?」
そうか…そうだよね
根本を見直さないと、何にもならないよね…
分かっていたけど…気づかない振りして縋っていた。
『安定した生活』に。
そんな事はお見通しの友人にズバリと言われる。
「もうやめたら?そんな生活」
そう言われて
(そうだ!やめればいいんだ)
ストンと納得。
心が軽くなった気がした。
部屋を探し、引越し、LINEでやり取り。
呆気なくサインされた離婚届。
それを見て、安堵する自分。
LINEでスムーズに進む話し合い。
(こんなものだったんだな…)
怒りも、寂しさもなかった。
結婚生活が破綻していた事を静かに受け入れた。
そうして私は、本当に『ひとり』になった。