お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
着せ替え人形のように、着付けが施されていく。次第に整っていく自分の姿を見ても、心が晴れることはない。成人式の着付けのときの、あの嬉しくウキウキした感情とは天と地の差だ。
「とてもよく似合っているわ」
着付けとヘアメイクを終えた私を見て、待機していた母が微笑む。そんな母になんて言葉を返していいか分からなくて、作り笑いを返すのが精一杯だ。
準備が整った私は、待機していた倉本さんの車の後部座席に乗り込んだ。母がその隣でギュッと私の手を握る。
「美月ごめんなさいね。こんな思いをさせて」
母の申し訳なさそうな顔が瞳に映る。私は、首を横に振って、また作り笑いを浮かべた。
「お父さんとお母さんも見合い結婚だったけれど今、とても幸せよ。九条さんの息子さん、素敵な方だから美月もきっと幸せになれるはずだわ」
それは母なりの精一杯の励ましなのだろう。まったく共感ができないが、ひとまずコクンと軽くうなずき、そして行き場を失った視線を窓の方に移す。
見合い場所はベリーヒルズビレッジにあるショッピングモールの屋上の庭園。向こうの息子さんの提案で、今日は互いの両親抜きでふたりきりで会うことになっている。
その方が互いに気兼ねなく話せるだろうとの息子さんの配慮だ。ふたりで会うのは、見合い話を断りたい私にとって話が切り出しやすいく好都合だと思っている。
「とてもよく似合っているわ」
着付けとヘアメイクを終えた私を見て、待機していた母が微笑む。そんな母になんて言葉を返していいか分からなくて、作り笑いを返すのが精一杯だ。
準備が整った私は、待機していた倉本さんの車の後部座席に乗り込んだ。母がその隣でギュッと私の手を握る。
「美月ごめんなさいね。こんな思いをさせて」
母の申し訳なさそうな顔が瞳に映る。私は、首を横に振って、また作り笑いを浮かべた。
「お父さんとお母さんも見合い結婚だったけれど今、とても幸せよ。九条さんの息子さん、素敵な方だから美月もきっと幸せになれるはずだわ」
それは母なりの精一杯の励ましなのだろう。まったく共感ができないが、ひとまずコクンと軽くうなずき、そして行き場を失った視線を窓の方に移す。
見合い場所はベリーヒルズビレッジにあるショッピングモールの屋上の庭園。向こうの息子さんの提案で、今日は互いの両親抜きでふたりきりで会うことになっている。
その方が互いに気兼ねなく話せるだろうとの息子さんの配慮だ。ふたりで会うのは、見合い話を断りたい私にとって話が切り出しやすいく好都合だと思っている。