お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

意を決しギュッと拳を握り、目の前のドアへと手を掛ける。そしてゆっくりとドアを開けた。

暖かな陽の光を感じると同時に、心地よい風が頰を通り過ぎていく。目に飛び込んできたのは庭園の中心にある大きな池で、ここは池泉回遊式庭園となっていて、池を中心に回遊できる造りになっている。

その池には錦鯉が泳いでおり、池の中に立つ石燈籠や、手入れが行き届いた植栽、そして手水鉢や涼しさを感じさせる鹿威しなどがあり、日本古来の伝統と趣きが感じられる場所となっていて、海外のVIPを招いてこの庭園でお茶会が開催されることもしばしばある。

と、園路を歩きだした私の前に颯爽と現れた長身の男の人。百八十センチはあるだろうか。手足が長くスタイルの良さが目を引いた。

「初めまして。九条 薫と申します。本日はどうぞよろしくお願いします」

低く落ち着きのある声が耳に届く。

「は、華村美月と申します。こちらこそ今日はよろしくお願いします」

柔らかな笑みを浮かべ、彼は私の目を真っ直ぐに見つめる。男の人に慣れていない私は動揺してしまい、声が震えてしまった。

短髪ショートの黒髪に切れ長な奥二重の瞳、シャープな顎ラインに口角が上がった形のいい薄型の唇。目に飛び込んでくるすべてのパーツが完璧だと思えるくらい九条さんは容姿端麗で圧倒されてしまったのだ。