お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「あの、その……」

「どうかされましたか？」

九条さんが心配そうに私を見る。こんな不自然な態度を取ることしかできない自分が嫌になる。話の流れで自然に例の話をしたかったけれど不器用な私にはどうやら無理だったらしい。

「九条さん、この見合い話なんですけれども……九条さんの方から断っていただけないでしょうか？」

意を決してそんな言葉を吐いた。一瞬、驚いた表情を見せた九条さんだったが、すぐにフッと笑い、柔らかな表情に戻る。

「この見合いを破談にしてほしいということですね。まぁ父がお願いしたことだから美月さんのお父様は断れなかったんでしょうけど。美月さん、お付き合いしている方がいるんですか？」

「いや、そういうわけではないんです」

「そういうわけではない？」

「失礼なお願いをしているわけなので、正直に話しますが……私、恋愛結婚がしたいんです。いつか運命の人に出会って一緒に時を重ねて、そんなことをずっと夢見てきたので、その……」

「そういうことですか。分かりました」

“分かりました”ということは、私の要求を承諾してくれたということなのだろうか。あっさり話が進み、なんだか拍子抜けしてしまった。