お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
さてさてどうしようか。どう話を切り出そうか。内心は早く妊娠のことを薫さんに伝えたくてうずうずしている。

父や母が薫さんに妊娠の事実を伝えなかったのは、私の口から直接伝えた方がいいと思ったからに違いないのだが、それが返って薫さんからしてみれば、その思わせぶりな態度が悪い方に働いてしまったらしい。

いつもあれだけポジティブで自信家な薫さんがこんな風にヒヨっているところを見るのは、初めてだ。

「あの、病気とかではないので安心してください」

「そうなのか? ならばよかったが。ということは単純に疲れが溜まっていたということか?」

「いえ、そういうわけでもなくて。実は……」

「実は?」

「赤ちゃんを授かったみたいです。それで体調の方が安定しなくて貧血を起こしてしまったんです」

「美月と俺の子供が美月のお腹の中にいるのか?」

薫さんが興奮気味にそう言って、優しく私のお腹に触れた。

「はい。妊娠六週目に入ったところだとさっき母に言われました」

「そうか、そうなのか」

薫さんが目尻を下げて、愛おしそうな表情を浮かべて笑う。
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