お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

まぁ九条さん自身、見合いに乗り気ではなかったのだから当然の反応だろう。これで私は結婚しなくて済むし、お父様と九条会長の関係も壊れなくて済む。すべて丸く収まり、一件落着というところだ。張り詰めていた緊張の糸が解け始める。

「君みたいな女性は初めてで面白い」

「え？」

と、悪戯な笑みを浮かべる九条さんが私の瞳に映る。そんな九条さんの姿が私の瞳に大きく映るようになっていくのは九条さんが席から立ち上がり、私の方へと足を進めてきているから。

「この俺を前に靡かないどころか、見合いを断ってほしいときたか」

クッと口角を上げて九条さんが笑う。

「く、九条さん……？なんかさっきまでと雰囲気が違……」

「そっちが本音で話してくれたんだ。だからこちらも本来の姿でいいだろう？」

さっきまで優しく紳士的な九条さんは影を潜め、そこにいるのは口調も荒々しく、俺様要素が漂うまったく別人格の九条さんだ。そのあまりの変わり身に驚いて、その場から動けずにいる。これが本来の九条さんの姿だというの？