お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
「美月様、お食事中に失礼します。旦那様より伝言を預かっております」

その日仕事から帰宅してひとり、ダイニングで家政婦さんが作ってくれた夕食を食べている最中、我が家で長年執事を務めてくれている倉本(くらもと)さんがそんなことを言って、私の下へとやってきた。

「お父様から？」

伝言とはいったいなんだろう？　夕食を食べていたその手を止め、倉本さんの方へと視線を向ける。

「はい。私も詳しい話は聞いておりませんが、明日の仕事終わりに病院の院長室に顔を出してほしいとのことです」

「え？　電話ではダメなの？」

「美月様と直接会ってお話したいとのことですので、明日の仕事終わりに病院の方へ顔を出していただきたく思います」

「分かったわ」

いろいろと不満があったが、ここで倉本さんに愚痴を言っても、彼を困らせるだけだ。それにそれを言ったところで父の呼び出しがなくなるわけでない。だからすべての不満を飲み込み、再び夕食を食べ始めた。
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