お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
時刻は二十時過ぎ。紗希と別れて薫さんの家と帰ってきた。久しぶりに紗希と会えて嬉しかったものの、いろいろと薫さんのことでからかわれて気持ちがそわそわしてしまった。
「あっ……」
カチャッと玄関のドアを開ければ、目に飛び込んできたのは黒い革靴で、一瞬固まってしまう。どうやら薫さんが先に帰ってきていたらしい。
紗希にいろいろ言われたものだから、変に意識してしまい鼓動が高鳴っていく。高鳴る鼓動を感じながら、リビングへとゆっくり足を進める。
「今、戻りました。遅くなりすみません」
懸命に平静を装って、リビング内の様子を窺いながら中へと入った。
「俺も少し前に帰ったところだ」
紺色のネクタイを緩めながら、こちらへと視線を送るスーツ姿の薫さんの姿が飛び込んできた。
「そうでしたか。お疲れ様でした」
ツンとすまし顔をしながら、そう言って洗面所に向かおうとする。
「先方から菓子をもらったんだが、一緒に食うか?」
「え?」
「なかなか今入手困難なピエール・ロマージュのミルフィーユだそうだ」
「ピエール・ロマージュのミルフィーユですか?」
思わずそう聞き返してしまった。それは今、テレビでも話題になっている話題のケーキ屋さんの代物で。店頭ではすぐに完売し、予約をいれても半年先にならないと手に入らないと言われているプレミアムなケーキなのだ。
甘い物が好きで、特にミルフィーユが大好物な私にとってそれは当然喉から手が出るほどに魅力的で食べたいと思う逸品だが……問題がひとつある。
「あっ……」
カチャッと玄関のドアを開ければ、目に飛び込んできたのは黒い革靴で、一瞬固まってしまう。どうやら薫さんが先に帰ってきていたらしい。
紗希にいろいろ言われたものだから、変に意識してしまい鼓動が高鳴っていく。高鳴る鼓動を感じながら、リビングへとゆっくり足を進める。
「今、戻りました。遅くなりすみません」
懸命に平静を装って、リビング内の様子を窺いながら中へと入った。
「俺も少し前に帰ったところだ」
紺色のネクタイを緩めながら、こちらへと視線を送るスーツ姿の薫さんの姿が飛び込んできた。
「そうでしたか。お疲れ様でした」
ツンとすまし顔をしながら、そう言って洗面所に向かおうとする。
「先方から菓子をもらったんだが、一緒に食うか?」
「え?」
「なかなか今入手困難なピエール・ロマージュのミルフィーユだそうだ」
「ピエール・ロマージュのミルフィーユですか?」
思わずそう聞き返してしまった。それは今、テレビでも話題になっている話題のケーキ屋さんの代物で。店頭ではすぐに完売し、予約をいれても半年先にならないと手に入らないと言われているプレミアムなケーキなのだ。
甘い物が好きで、特にミルフィーユが大好物な私にとってそれは当然喉から手が出るほどに魅力的で食べたいと思う逸品だが……問題がひとつある。