お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
やはり人生は甘くはない。紗希が言うとおり薫さんは黙ってこの半年間を過ごす気はなさそうだ。

唇と舌に残る薫さんの感触に胸の高鳴りがいまだに収まることはない。薫さんの行動は男性経験がまったくない私にとって刺激が強すぎて振り回されてばかり。

半年間くらいならば薫さんとの生活に耐えられると鷹を括っていたが、雲行きが怪しくなってきて、重いため息が漏れる。

このままじゃ心臓が持ちそうにない。波風を立てないようにと私がいくら心掛けたところで、こんな風に薫さんが私の領域を侵してくるのならば、平穏な生活など送れるはずがない。

「もうどうしたらいいのよ……」

ポツリとつぶやいた言葉が儚げに宙に消えていった。ベッドの上に横になりぼんやりと天井を見上げる。

考えないようにと自分自身に言い聞かせるが、さっきのディープキスが頭から離れない。

ヤバイ。なんだか頭の中が薫さんという存在に支配されているではないか。それでは向こうの思うツボだ。

とにかく隙を見せたり頭の中を支配されてしまったら私の負けなのだから。冷静にならなくては!

何度もそう言い聞かせ、私はその日眠りについた。
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