お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
「東條先生、あの……少しプライベートなことを質問してもよろしいでしょうか?」
ひと通り仕事を終え裁判資料を片付けるなか、私は唐突に東條先生にそんな問いを投げかけた。
「ああ。どうしたんだ?」
「たとえば、価値観も性格もまったく合わない男女がとある理由で一定期間同居しなくてはいけなくなったとして、波風を立てずに生活をするにはどうしたらいいのかな……と。あ、これは友だちの話なんですけどね」
「難しい質問だな」
東條先生がクッと口角を上げて笑う。
「唐突に変な質問をしてすみません」
「いや、構わないが。その問いに答えを出すならば、昔の俺ならクールに割り切って感情を殺して乗り切る、みたいな対策をとっていただろう。が、今の俺ならば相手のことを知ろうと努力して向き合おうとする」
「なぜそんな風に考え方が変わったんですか?」
「それは妻の影響だ」
「奥様の?」
「ああ。妻と俺はもともと価値観も考え方も真逆で水と油のように一生交わることも分かり合うこともないと思っていた。一番初めは喧嘩から始まったくらいだからな。だが、彼女と共に過ごしていくうちに彼女の様々な面が見えてきて、いつの間にか彼女の存在が大きくなり好きになっていた」
「そうだったんですか……」
今のふたりを見ていると最初から相思相愛だと思えるくらいに仲睦まじげに見えるから、東條先生の話は正直、意外だった。
ひと通り仕事を終え裁判資料を片付けるなか、私は唐突に東條先生にそんな問いを投げかけた。
「ああ。どうしたんだ?」
「たとえば、価値観も性格もまったく合わない男女がとある理由で一定期間同居しなくてはいけなくなったとして、波風を立てずに生活をするにはどうしたらいいのかな……と。あ、これは友だちの話なんですけどね」
「難しい質問だな」
東條先生がクッと口角を上げて笑う。
「唐突に変な質問をしてすみません」
「いや、構わないが。その問いに答えを出すならば、昔の俺ならクールに割り切って感情を殺して乗り切る、みたいな対策をとっていただろう。が、今の俺ならば相手のことを知ろうと努力して向き合おうとする」
「なぜそんな風に考え方が変わったんですか?」
「それは妻の影響だ」
「奥様の?」
「ああ。妻と俺はもともと価値観も考え方も真逆で水と油のように一生交わることも分かり合うこともないと思っていた。一番初めは喧嘩から始まったくらいだからな。だが、彼女と共に過ごしていくうちに彼女の様々な面が見えてきて、いつの間にか彼女の存在が大きくなり好きになっていた」
「そうだったんですか……」
今のふたりを見ていると最初から相思相愛だと思えるくらいに仲睦まじげに見えるから、東條先生の話は正直、意外だった。