お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
「だから波風を立てずに生活するというよりは、相手のことを分かろうと生活する方が結果的に楽しく生活できるんじゃないか? 人の出会いは奇跡的なものだし俺みたいな例もあったりする。もしかしたらその人が華村の運命の相手かもしれないしな?」

「え?」

ニヤリと笑う東條先生の前で大きく目を見開いた。

「あからさますぎてバレバレだ。まぁ華村自身のことだろうと思ったから、俺も素直に身の上話をしてアドバイスしたんだがな。華村も病院のひとり娘だからいろいろと大変なんだろう?」

「ええ。まぁ……はい。東條先生はなんでもお見通しですね」

東條先生は弁護士として働いているが、実は大企業の御曹司なのだ。長男であるのにそちらの会社を継ぐ気はなかったらしく、今は東條先生の弟さんが後継者としてお父様の会社を引っ張っているらしい。

「華村が分かりやすいだけだ。とにかく気負わずに壁を作らずに向き合ってみたらどうだ?」

「そうしてみます」

人生の先輩の話はとても心に響いた。なにより東條先生が奥様と最初はそんな感じだったと知って東條先生の言葉には説得力があるように感じたから。

薫さんが私の運命の相手だとは一ミリたりとも思わない。そして好きになることもないだろうけど、向き合うこと自体はやってみようとは思う。キスやハグ攻撃はもちろん論外だが……
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