お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
三日後、私が仕事から帰宅すると薫さんが出張先から帰ってきていた。

「特に変わったことはなかったか?」

「はい。大丈夫でした」

昨日の電話でもこんな会話をしたと思いつつもそれを口にすることはしなかった。実は毎日、就寝前に一度だけ薫さんから電話があったのだ。内容は【変わりはないか?】毎回そんな内容で、二、三分の短い会話だった。

毎日電話がくるなんて思いもしなかった。だって薫さんは俺様で強引で自分本位の人だと思っていたから。こんな気遣いをするような人だとは思っていなかったのだ。

あ、でもそういえば、見合いの日に着物で歩きづらい私に薫さんがさりげなく歩幅を合わせて歩いてくれてたっけ。こう見えて意外に気遣いができる人なのかな、そんな風に思いながら、目の前のダイニングチェアに座り、ケータリングで頼んだ和食料理を口にする薫さんを見つめる。

「どうした? 俺の顔になんかついてるか?」

「え? いや、その……」

ちらちらと薫さんの様子を窺っていたことに気付いていたらしい。なんと言葉を返したらいいか分からなくて言葉に詰まった。
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