お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
ビクトリア朝風の煉瓦造りのお洒落な洋館の中に入ると支配人と思われる長身の男性がすぐに薫さんのもとへとやってきた。

「九条様、お待ちしておりました。いつも贔屓にしていただきましてありがとうございます。今日は特別個室の方をご用意致しましたので、そちらの方でごゆるりとお過ごしくださいませ」

どうやら薫さんはここの常連らしい。しかも特別個室を用意されるとはよほどの上客なのだろう。

通された特別個室はとても広くてラグジュアリーな空間だった。シャンパンゴールドの壁やカーテン、頭上には煌めくシャンデリアがあり、テーブルや椅子、そして絨毯は黒で統一されており高級感が漂っている。なんだか圧倒されて萎縮してしまう。

「アペリティフになにかいかがですか?」

「ではシャテルドンを頼む」

「かしこまりました」

薫さんは私と違って実に堂々としている。こんな空間に慣れているのだろう。アルコールにめっぽう弱い私を気遣ってくれたのか、アペリティフにシャンパンを避けてくれた薫さん。俺様なところはあるが、なんだかんだで話したことは覚えてくれているようだ。
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