お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言
それからどのくらい時間が流れただろうか。まぶたの裏に感じた陽の光に導かれるようにゆっくりと目を開けると、ぼんやりと白い天井が見えてきた。

意識を取り戻した私が居たのは、温かい布団の中だった。すぐに昨日の出来事を思い出して、咄嗟に服を着ているか布団の中を覗き込む。

ひとまず服を着ていたことにほっとしつつ、後方から耳に届いたガサガサという摩擦音に、恐る恐るうしろを振り向いた。

「……っ⁉︎」

私の隣に寝ていたと思われるその人物と視線が交わり大きく目を見開く。

「やっと目が覚めたようだな」

何日かぶりに聞いたその声に胸の奥がじんじんと熱くなっていく。

「どうしてここに……薫さんがいるんですか？」

そこにいたのは私をここに連れてきた名波先生ではなくて。あの日喧嘩別れして、二度と会うことがないと思っていた薫さんだった。

なにがどうしてこうなっているのだろう。まさか夢でも見ているんだろうか？

昨日の出来事を一から振り返ろうとしても頭が割れるように痛くてうまく働かない。思わず顔を歪めると、

「ひとまずこれでも飲め。二日酔いで気分が悪いんだろう？」

薫さんが冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取りだし、そっと私に手渡した。

「ありがとうございます……」

ごくごくと身体が求めるままに飲み込む。どうやら相当喉が乾いていたらしい。身体が少しだけ楽になった気はするが、いまだに気持ち悪さは残っていて、身体を起こしていることが正直、つらい。
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