お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「あの……私気を失ってしまって昨日のことをよく覚えていないんです。そして薫さんがどうしてここにいるのかもまったく分からなくて……でもいろいろとご迷惑を掛けてしまったことは本当に申し訳ないと思っています」

「今回のことは俺にも責任があると思っている。だから美月は謝らなくていい」

「え？」

「順を追って話そう」

しばしの沈黙の後、ふーっと息を吐き薫さんが意を決したように、私の目を真っ直ぐに見て話しだした。

「あの男……名波先生といったかな。彼から美月のお父さん経由でここに呼び出されてね。『今、美月ちゃんと一緒にホテルの一室にいます。彼女は今、僕の隣ですやすやと寝ていますけど、このまま彼女をあなたから奪っていいですか？　あなたが彼女を悲しませるならば、遠慮なく俺が彼女をもらいます』電話でそんなことを言われたんだ」

「名波先生がそんなことを……？」

まさかのやり取りが行われていたことを知り、目を大きく見開いた。

「俺はいてもたってもいられなくなり、慌ててここに飛んできた。そして事の真相を聞いたんだ」

「事の真相？」

「美月にお酒を飲ませて彼がここに連れ込んだのは美月のお父さんと俺への復讐を遂げるため」

「復讐って……」

「彼は美月に密かに想いを寄せていたんだよ」

「え？　名波先生が私に……そんなことあるわけ」