キス仲
「じゃあ明日仕事終わったら迎えに行くから」
「ん、わかった」
唯人はいつも迎えに来てくれる。
同居はしていない。
ていうか、するつもりもない。
私たちは「キス」はするが、カラダの関係は持たない。
別に私はもう少し踏み込んだ関係になっても構わないんだけど、唯人はどうやら私を女として見てないようで。
抱く気にもならないんだろう。
「おやすみ」
「…唯人」
「ん?」
───大好き。
そう言ってしまえば、
もう幼なじみにも、キスする関係にも戻れない。
「仕事頑張ってね」
「おう」
おやすみ、と言って唯人は玄関の鍵を開け自分の家に入った。