復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
復讐心を抱く理由。
それはただ単に『お父さんの会社が買収されたから』というだけではない。
もっと複雑で、もっと難解なものだ。
私が高校生の頃。エスカレーター式で金持ちの社長令嬢や御曹司ばかりが通う学校で毎日を過ごしていた。
「純連、高等部の制服も似合うね」
「そうちゃんも!大人になった感じ♪」
そうちゃんとは赤ちゃんの頃から知っている仲で、そうちゃんと私のお母さん同士は昔からの親友ってこともあり…。
「純連は将来、颯汰くんと結婚するのよ」
なんて親同士が決めた許婚の関係だった。
そうちゃんは優しくて、私をどんな時も守ってくれるナイトみたいな男の子。
「純連っておっちょこちょいだよな」
「っ…新みたいに運動神経いい人には私の気持ちなんてわからないよ!」
いつもみたく新と言い争いの喧嘩をしていれば…。
「純連の『おっちょこちょい』なところ僕は好きだよ。守ってあげたくなる。」
「そうちゃん……。」
すかさずフォローしてくれて、何処までも私を甘やかしてくれていた。
お金に困ることなんてなかったし、結婚する相手は親に決められるのが当然な世界で、その人と結婚すれば絶対に幸せになれるなんて信じきっていた。
だって相手はそうちゃんだし。
将来は薔薇色だと確信していた。
趣味はピアノ。弓道は嗜む程度だけど好き。
そこそこ優秀で勉強は得意な方だった。
人生イージーモード。
何もかも思い通りになる私は恵まれている。