復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
けれど、人生っていうものは一気に狂わされるものだということを高校生ながらに知ることになる。
「……我が社の開発ソフトが流れた…。藤堂め…。」
お父さんが手掛けたソフトと類似のソフトを一足先に藤堂ソフト株式会社が売り出した。
その結果、気づけば経営は傾き、株は藤堂に買い占められてH.I.T株式会社は最終的に買収されることになる。
「買収って…でも、お父さんは社長のまま…? ……この先、どうなるの…?」
若いが故、何も知らない私はお母さんに質問ばかりをする。
世間知らず。
沢山の愛情を注がれながら育った箱入り娘だから、本当に何も知らなかった。
「新のお家と一緒に頑張っていくんだよね…?」
生温い。反吐が出るほどに純粋な私は知らなかったんだ。
買収された後…。
「海外に行く。日本には暫く帰ってこない。」
お父さんはこれの一点張り。お母さんが止めようとしたって言うことを聞かない。
私のお父さんは『超』がつくほどの頑固者だった。
「純連、母さんと二人で生きるんだ。今の婚約者のご両親とは話をつけた。縁談はなかったことにしよう。………藤堂に嫁げ。」
本当に勝手だと思った。
お父さんが居なくなった家でお母さんは毎晩涙を流して、同時に湧き上がる焦りと寂しさを私に打つけた。
「……純連が頑張るの。純連は有名大学に通って…新しいIT企業…ううん、どんな会社でも良いわ…。起業して、軌道に乗ったらお父さんを取り戻す…。それがあなたの使命」
そこで初めて気付いた。
親の言う通りにしていれば、どんな時でも幸せになれると思っていたけど…。
それは間違いだ。
なんでお母さんが全て決めるの?
お父さんもそう。
私の意見は無視して、何処までも我が道を行く人たち。
決めた道の上しか進めない人間で居たくない、そう思ったから…。
お母さんの提示する大学以外の大学に願書を提出した。お母さんが無理やり受けさせた大学の試験ではわざと名前を書かなかった。
精一杯の反抗だった。