復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
過去
新side
「あんたへの復讐計画を真剣に練ってたわ!面白い子ね!」
煙草の匂いに包まれた部屋で酒を飲みながら鼻高らかに笑うのは、VIPラウンジにて一番の権力者であるママこと明乃さん。昔から俺の父親と親しくしている間柄だ。
「新に頼まれて雇ったけど、本当にあの子は素晴らしい子。私にとっては話題性もあって退屈しないし、接客に出れば誰にも負けないような支持を得て…。本当に純連を雇ってよかったわ。」
俺は最低な人間だ。
「そう仰ってもらえて光栄です。許婚の私も鼻が高いです」
純連にとって俺は、最低な許婚、最低な幼馴染。
最低な復讐相手。
ずっと知っていた。
復讐を目論んでいることも、『俺を惚れさせて残酷に振る』っていう復讐の内容も。
全部全部知っていた。
「新のこと好きだから…何されたって良いの」
ぜんぜんそんなことないくせに。
「新って料理上手なんだね。凄い…。惚れ直しちゃうよ」
惚れ直すも何も、俺のこと好きじゃないくせに。
「……逃げないよ…。私、新のこと好きって前に言ったじゃない…」
家族を壊した男のことを…好きだなんて言えるはずがない。