復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
それから1ヶ月ほど経った日。
「藤堂と肩を並べるライバル会社は、今のところ何処にもないわね。目を向けるは海外かしら」
「明乃さんは煽てるのが上手ですよね」
用事があると呼び出された俺は、明乃さんとお酒を酌み交わしていた。
「用事ってなんですか?」
「新くんと2人っきりでお酒飲めるなんて幸せだわ〜♡」
「……思ってないくせに。」
「あら、バレた?」
うふふ、と美人な顔立ちの明乃さんは笑顔を浮かべる。それを無視して俺は問うた。
「要件は?」
「可愛いからってスカウトしたら簡単に働くって言ってくれたわよ。あなたの大好きな純連ちゃん♡」
「……それは良かったです。で、本題は?」
「反応薄いわ〜。本当、可愛げないわね。」
電話だけで済むような話だ。呼び出す必要性を感じなかった俺は、更に本当に話したい内容を問いかける。
「……あんたに復讐するんだってさ」
「復讐?」
「なにも、『惚れさせて振る』っていう復讐内容らしいわよ? 本当、可愛らしい子。」
「へぇ。」
復讐内容を聞いて心がざわついた。
ここまできて、つくづく自分は最低な人間だと思う。……というか歪んでる。
嬉しかった。
嫌われるなら、他の男が頭の中に入り込む隙がないくらい徹底的に。
嫌われて嫌われて、俺のことしか考えられなくなって。
そしていつか…。
「……可愛いですよね。純連。俺、幼い頃から好きなんです。」
「じゃあ、あの子の復讐計画、あとは振るだけね〜。」
「簡単に振られて終わると思いますか?」
「い〜や?」
「虜にして離さない、の一択でしょ?」
「ご名答」
俺が純連の幸せを壊したから。
純連をたくさん泣かせてきた男だけど…
絶対に、確実に、徹底的に。
いつかは俺の奥さんにして、世界一幸せにしてやる。