復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
「では、そろそろ。」
「ええ。」
時は経ち、新たちは帰り支度を始める。新が取り出した黒々と光に反射するクレジットカードを受け取る。きっと年会費も高いんだろうな。
「ありがとうございました」
まさか久々に遭遇するなんて思ってなかったから、何も用意できず、ただただ普通の接客をするだけの時間を過ごしてしまった。
後悔をしている間にも、順々に新と交流していた人たちがラウンジを後にしていく。
(今度会う時までにはしっかり復讐の戦略練らなきゃ)
そう意気込んでいた私だが、一番最後に店を出ようとしていた新が足を止めたことでパニック状態に誘われることになる。
「純連さん、アフター頼めますか?」
(………え、今なんと?)
アフター?
アフターってあの…営業時間外にお話したり…お出かけしたりする…あのアフターですか…?
「この後、どうでしょう?」
天使みたいなスマイルを見せて新は言う。私にしか聞こえない優しい声で、ほんの少しだけ耳元に口を近づけて。
思ってもみない、絶好の機会だろう。
むしろ望んでいたお誘いだ。
だって私の復讐内容は…
『新を惚れさせて残酷な振り方をする』
というものだから…。
「いいですよ」
満面の笑みで答える。小さな歩幅で一歩を踏み出し、新に歩み寄った。