本当にそれでいいですか?
身勝手な離婚
冬が終わろうとしていた。季節は春。
別れと出会いが交差する中で私はたった今、まさに人生の岐路に立たされていた。
しかもめちゃくちゃな要望。身勝手で傲慢さを押し付けてくる言い分に目の前の夫をただ冷静に見返している。
「 もうお前とのくたびれた生活はうんざりだ」
心底嫌そうな顔で離婚届けをテーブルの上にバンッと叩き付けたのは夫の隆也。
久しぶりに家に帰ってきたと思ったらこれだ。
目に余るほど嫌味なその顔をこうしてまじまじ見つめたのはもうどれぐらい前だろう?
うんと久しぶりのような気がする。が、今さらそんなことはどうでもいい。
それ以上に目についたのは彼の現在の容姿だった。
「あなた、老けましたね」
昔はキリリと整っていた目尻が老化のせいで垂れ下がり、小皺も深く刻まれている。
昔はチャームポイントだと自慢していた目尻の
ほくろも今じゃシミの一部のように感じる。
何よりそれが印象的だった。
結婚して20年になるが、確実に若者から中年へと変貌をとげていた。
「もう43ですね」
「は、まだ42だよバカヤロー」
ふんと鼻息を荒らし、ギロリと睨まれる。
相変わらずの口の悪さだが、もう慣れっこのため何も思わない。
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