本当にそれでいいですか?
「え…」とポカンと口を開けた姿は間抜けずら。それでも隆也や他の男から見ればそんな彼女の姿も可愛いなんて思うのだろう。けどそれも壊してやりたい。その自信満々の顔も何もかも。だから最後に私から餞別の言葉をお返しとばかりに突き付けた。
「それから二人には当然慰謝料を請求しますので宜しくお願いします。あとの手続きは全て弁護士の葛西さんにお願いしてありますから」
「は?」
「え?」
そして私は隣の部屋のドアに目を向けた。
やっとこの時がきたと言わんばかりに目を細め、
「大変お待たせしました。葛西さん、そしてお義母さん。それでは後の事はお任せしてもいいですか?」
すーと扉が開いた。
息を飲む二人が同時に視線を向けた先。そこから一人二人と現れた正体、それは…
「は?なっ…お袋!?と、お前は…っ?」
そう、あらかじめ計画を立てていたのだ。朝からずっと隣の部屋に待機してもらっていた弁護士の葛西さん。と、何を隠そう隣にいるのは隆也の実の母親。
今日隆也との話し合いをすると聞いたお義母さんは私を心配し、一緒に話を聞きたいと言ってくれた。そして私はそれを承諾しあえて隣の部屋で待機するようお願いをしていた。